プログラム概要

『推薦のことば』

「病理専門医の資格更新のために学会や講習会に出席したいのですが、忙しくて病院を離れることができません。自分としても病理の勉強をしたいのですが、何か良い方法はないでしょうか」「今、病理の現場から離れているのですが、病理の勉強は続けておきたい。将来病理に戻るつもりなので、資格更新のための単位を取っておきたいのだが、なかなか病理学会学術集会にも行けなくて」「病理医ではないのですが、病理学が好きで、病理標本をみて勉強したいのですが、どのような方法があるのでしょうか」時々寄せられる質問である。

筆者は米国の病理専門医の資格をもっていて、米国で行われる学会に出席するか、その他の手段で生涯教育の単位を取得するようにしている。これがなければ米国の医師免許の更新もできないから切実である。そういえば、米国では学会やその他の機関からスライドセミナーなどの標本を送ってもらって検鏡、勉強し、診断を送れば、勉強したものとして生涯教育の単位を取得できる。例えば、College of American Pathologists(CAP)やCalifornia Tumor Registryの行う生涯教育プログラムなどがある。これらのお陰で、日本では年度末にあたる忙しい時期に日本を離れ、米国カナダの病理学会に相当するUSCAPに出席しなくても単位が取れるようになった。「何とか日本でもこのような単位を取得できる生涯教育の制度はできないものだろうか、そうなれば冒頭のような方々にとっても便利なのにな」実は、そのような気持ちから、以前に日本病理学会で標本作製の精度管理と併せた生涯教育プログラムをつくりたいと検討したことがある。その時は人的、時間的制約のためにどうしても断念せざるをえなかったが、その後も心に残っていたのは事実である。この度突然CAPのPIPプログラムを日本でも広めたいので協力願えないだろうかとの話が舞い込んできた。

米国の病理医団体であるCAPでは、病理診断の精度管理の一環として"Performance Improvement Program(PIP)in Surgical Pathology"を行っている。このプログラムでは、参加者は配布された組織標本をみて病理診断をつけ、添付された問題に解答してその結果を返却する。その後、症例の解説書が送付されてきて、最新の知見がどうなっているのかを解説書を読みながらもう一度勉強できるようになっている。この解説書が実によくできていて、最新の知見やその標本での特徴的所見のみならず、診断に重要な所見あるいは鑑別疾患との鑑別点などが事細かに書かれている。よくぞここまで書いてくれたと感謝するほどに"痒い所に手の届く"ものである。もう一方の教育プログラムであるCalifornia Tumor Registryとの違いは、提示症例が腫瘍や腫瘍類似病変に限らず、炎症性疾患など他の病変も含まれていることと、この解説書が付いていることで、その有用性には数段の差があると言わざるをえない。

この度の日本でのプログラム形式は、米国のものとほぼ同様だが、年2回配布とし、年間20症例を検討するように変更してある。内容は米国のものと同一で、日本の参加者のために翻訳版の解説書も準備されている。したがって、これに参加することによって、米国での最新の知識を得たり、米国の病理医との比較も可能となる。

筆者は、以前このプログラムに参加し米国より直接標本の配布を受けていた。また、翻訳監修者として、このプログラムは日本の病理診断の精度管理と病理医の育成に貴重な資料であり、有益な教材であると考えている。その意味で、このプログラムを日本病理学会の学術集会や講習会参加者のみならず、これらに参加できない病理医や病理を勉強したいと考える臨床医その他多くの方へ推薦したいと思う。

参加希望者はCAP日本事務局の委託先である(株)CGI(Tel : 03-5563-1368)に問い合わせるとよい。本プログラムに多くの方が参加し、その良さを実感しつつ生涯教育の一助としていただければと思い、ご紹介させていただいた。さらに、できれば本邦独自の同様の企画が立てられ、普及していくことを切に願っている。

(臨床と病理 2008 Vol.26 No.5 p.523 文光堂より抜粋)

真鍋俊明
滋賀県立成人病センター 総長
(本プログラム翻訳監修者)

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