総評

総評 (2017年 JPIP-B)

翻訳監修者 真鍋 俊明

平昌オリンピックが終わり、パラリンピックで我が国のメダル量産が報道される中、この総評を書いています。この度の J-PIP の診断一致率は非常に高く、メダル級と大変嬉しく思いました。ただ、症例 1 では、肺腺癌の亜分類の一致率が低く、どんな分類になっても、どんなに詳しい診断基準が設定されてもなかなか一致率を上げられないのかと、亜分類の難しさも感じました。

オリンピックと言えば、金メダルを獲得した小平奈緒選手が述べた「明日死ぬかのように生きよ。永遠に生きるかのように学べ」というマハトマ・ガンジーの言葉が注目をひいていました。久し振りに聞く言葉で、若い人でも知っているのかと驚いたものです。病理業務に置き換えて言えば、“その日その日を大切に、与えられた業務を遂行しつつ、その中からそしてそれから派生させて学ぶ。その学ぶ気持ちを止めることなく今日も明日も明後日も新しい知識や真理を求め続けていけ”ということでしょうか。経験を積み、歳を取ると、ついもうこのくらいで良いと思いがちとなりかねません。

一方で、いつも同じ業務を漫然と同じように行っても良いというものでもないようです。禅語の中に、「七走一座」と「一日一止」という言葉があるそうです。「七走一座」とは、七回走ったら一度は座れ、「一日一止」は一日に一回は立ち止まれ、という意味です。ずっと走り続けることは良いことではなく、しばらく走ったら休息をとり、自分の走りを見直すのが賢明だということのようです。何も考えずにぼんやりしている時には、今まで学んだことが頭の中に沈殿し、新たな考えやひらめきが湧いてくるものです。失敗からも多くのことを学ぶことができます。J-PIP 参加も、日常業務の合間に行う、自分を見直すための過程で、これにより新たな知識や考えが湧き出る元となるものと言えるかもしれません。

今回一致率が低かった症例1については、もう一度振り返り、沈殿させましょう。

いつもの繰り返しになりますが、生涯教育の目的には、よく経験する疾患を見誤らないこと、稀な疾患を理解しておくこと、そして提示された疾患に対して既知の情報を復習するとともに、最新の知見を勉強することが大切です。学会などで行う症例検討会では、得てして稀な症例や引っかけ症例が多く提示される傾向があり、つい”当てもの”的になってしまいがちですが、このような態度は、生涯教育にあっては危険な面を含んでいるとも言えます。虚心坦懐に標本を観、考え、診断すること、解答を得た後には復習し新知見の獲得に励む態度が必要です。

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